1組の新郎新婦が私を変えた。
ブライダルの仕事っておもしろい!
配属されたのは、軽井沢ホテルブレスト コートでした。地方で働いた経験がなかったため、東京に一番近い軽井沢という地が最初の配属先でホッとしたのを覚えています。衣食住に関わる仕事としてホテルを選択した私は、飲食店での経験もあり、特に食事の分野に興味を持って星野リゾートに入社しました。「ブライダル業としての星野リゾート」という認知はゼロだった私の最初の配属は、東京勤務のブライダルコーディネーターの部門。異動に関する希望を伝えられる『異動希望調査制度』もあるので、数年後には[界]などの宿泊に関わる部門に異動しよう……と考えていました。
ブライダルの仕事は特に希望していなかったこともあり、正直なところ、最初の半年間はまったくおもしろくありませんでした。しかし、しっかり研修をしてくださった先輩たちには感謝していましたので、時間をかけて育てていただいたからには、2~3年はブライダル部門に勤務して恩を返さねば。そんな風に思っていました。
そんな私を変えたのは、ご自身たちのウエディングに強いこだわりを持ったある1組の新郎新婦様との出会いでした。細部にまでしっかりと配慮するお二人で、打ち合わせ中は「なぜそんなに細かい部分まで確認したいのだろう?」と思うこともしばしば。しかし、その疑問は結婚式当日に吹き飛びました。その日のウエディングパーティーが とてもすてきだったのです!装飾・お花・ペーパーアイテム等と会場のトータルバランスがさらに相乗効果を生み出し、私の知っている会場ではないような感覚さえ覚えました。いまでも忘れられないパーティーです。
本当に幸せそうなお2人の笑顔と、終了後にいただいた感謝の言葉から、「こんなにもすてきなウエディングパーティーが実現できるのに、もしかしたら私の先入観で断ってしまっていて実現できなかったことがたくさんあったのかもしれない……」と、これまでの自分の姿勢を反省しました。これからはもっと新郎新婦様の希望を叶える努力しよう。人それぞれやりたいことが違うなかで、その思いを形にしていくブライダルの仕事はなんておもしろいのだろう。そう感じるようになりました。
ブライダルの仕事に対するモチベーションが上がったのとちょうど同じころ、“コーディネーターチーム(予約ユニット)で1番、お料理について語れる人”になろうと決めました。休日にはフレンチの有名店を巡ったり、高級ワインを購入して味わったりと、自己投資をした結果、[ホテルブレストンコート]で提供する料理のこだわりを語れるようになり、自信を持つことができました。仕事を通してもっと知識が欲しいと思うようになり、それが自分磨きにもつながる。仕事とプライベートは区別したいと考えていた私でしたが、仕事とプライベートとの相乗効果を感じるようになりました。